都島にある根管治療大阪クリニック | 掌蹠膿疱症と根管治療

掌蹠膿疱症と根管治療

掌蹠膿疱症とは

掌蹠嚢胞症とは、手のひらや足の裏に水ぶくれや膿胞ができる皮膚疾患で、特に手のひらや足の裏に繰り返し出現し、痛みやかゆみを伴うことが 多いです。原因は、歯周病や根尖病変(歯の根の病気)といった歯の感染症、銀歯などの金属アレルギーやストレス、喫煙が掌蹠嚢胞症の発症や 悪化に影響を与えると考えられています。
お口の中の病気(虫歯や歯周病、歯の根の病気)によって体内に炎症が広がり、これが手の平や足の裏の皮膚に影響を与える可能性があります。
膿疱の中に細菌、ウイルスなどの病原体は入っていませんので、膿疱や膿疱内の体液に直接触れても人に感染することはありません。


掌蹠膿疱症の発症年齢と男女比

掌蹠膿疱症の患者数は約13.6万人と推測されています。
発症は30~50代に多く、平均発症年齢は55.5歳であり、男女比での罹患率を調べたデータによると、約1:2で女性の方が多い傾向にあります。
子供の発症は稀ですが、どの年齢でも発症する可能性はあります。


掌蹠膿疱症の症状

掌蹠膿疱症の症状は、主に手の平と足の裏に水疱や膿疱などの病変が現れますが、手の平や足の裏以外にも、すねや膝、肘、頭などに症状が 出ることがあります。爪の変形や骨、関節が痛んだりすることもあります。


手の平・足の裏の症状

のイラストで色が塗られている場所に症状があらわれることが多いです。

特徴的な症状として、小さな水ぶくれからできます。
でき始めはかゆみを伴い、しばらくすると膿疱が乾き、茶色っぽいかさぶたとたって剝がれ落ちます。
まわりの皮膚にも炎症が広がって赤くなり、表面の角層が浮いてきて乾燥したカサカサとした質感になります。
足の裏の場合、この乾燥した角層がつみ重なって厚くなると、歩くたびにひび割れて痛みを生じます。

膿疱は、次々に出て増殖してくる場合と、良くなったり悪くなったりをくり返す場合とがあります。
疲れた時や、風邪などでのどの痛みを感じると悪くなるなど、どんな時に症状が悪くなるのかを自分で把握しておくことは大切です。

掌蹠膿疱症の主な原因

掌蹠膿疱症の原因は、解明されていないことも多くありますが、歯周病や歯の根の病気、金属アレルギー、扁桃炎、頑固な便秘や過敏性腸症候群、喫煙などが発症に深く関わっている例が多くみられ、ストレスをきっかけに始まることが多いのです。



病巣感染(扁桃炎や歯周炎など)

病巣感染とは、症状がほとんどなくても体のどこかに慢性の炎症がある場合、これがきっかけとなり、体の全く別の部分に別の病気が引き起 こされることを言います。
掌蹠膿疱症は、この病巣感染が深く関わる代表的な疾患です。
・症状がない扁桃炎
・症状がない歯の根の病気や歯周病
・上咽頭炎
・慢性副鼻腔炎
など、通常は急いで治療の必要がないような状態と思いがちな状態でも、掌蹠膿疱症を起こしやすいタイプの人には、掌蹠膿疱症の発症や症 状の継続につながっていると考えられています。



金属アレルギー

歯科金属などの金属アレルギーとの関連もあるとされていますが、単に歯科金属の除去だけでは良くならないことも多く、歯性病巣(根尖病変・歯の根の病気)の治療を同時に行う必要がある場合があります。



喫煙

掌蹠膿疱症の患者さまの喫煙率は約80%と非常に高いという特徴がありますが、禁煙のみで治ることはあまりありません。
喫煙が掌蹠膿疱症の発症にどのように関わっているのか、まだ分からないところは多くありますが、禁煙をすることで症状が軽くなったり、 治療の効果が向上する傾向はあります。
喫煙が炎症物質の発生を増加させたり、歯周病など他の因子を悪化させたりなど、喫煙と掌蹠膿疱症には関わりがあると考えられています。

掌蹠膿疱症の治療法

掌蹠膿疱症の原因は、分かっていないことも多くありますが、扁桃炎や根尖病変(歯の根の病気)、歯周病などの感染症が原因で発症してい る例が多くみられます。

2018年の研究調査では、根尖病変(歯の根の病気)や歯周病、歯科材料による金属アレルギーなど、歯科治療が必要 であると考えられる患者さんが全体の62.8%いたことが分かっています。

扁桃炎や根尖病変(歯の根の病気)、歯周病などの治療をすることで、掌蹠膿疱症の症状が良くなることがあります。

当院の患者さまでも、実際に長期にわたって掌蹠膿疱症に悩んでいた患者様が、精密根管治療を行って、掌蹠膿疱症 の症状が改善した例があります。

皮膚科を受診しても、歯の治療や扁桃炎の治療は受けられませんので、歯科や耳鼻科で連携を取って治療を行っていく必要があります。

また、喫煙は掌蹠膿疱症を悪化させる因子であると考えられるので、禁煙も大切です。



歯科で行うことができる治療

掌蹠膿疱症を発症していて、根尖病変(歯の根の病気)、歯周病、銀歯が入っている患者さまは、まず歯医者さんで治療を行いましょう。

掌蹠膿疱症を発症している患者さんが根管治療や歯周病、銀歯などの歯科治療を行い、症状が良くなったり、治癒しています。
治癒とは、通院が全く必要ないもの、軽快とは治療したことで改善が見られ、通院で継続的な治療を必要とするものと定義されています。

掌蹠膿疱症の原因として、よく聞くのが金属アレルギーです。
下のグラフでは、【金属除去を行った場合】と【金属除去を行わなかった場合】の治療結果を表したものです。

【金属除去を行った場合】
明らかに改善した人と改善した患者さん、合わせて79.2%という結果となっていますが、この改善した人たちの内8割以上の人が金属除去を行ったうえで歯科治療(歯周病治療や根管治療)を行っています。

【金属除去を行わなかった場合】
金属除去を行っていないにもかかわらず、治癒や改善した人は合計で73.9%という結果が出ています。

【金属除去を行った場合】と【金属除去を行わなかった場合】での治療結果は、わずか5%ほどしか差がありません。
つまり、病巣治療がとても大切ということがよく分かります。
歯科においては、歯周病治療・根管治療などがありますが、扁桃炎や副鼻腔炎にかかっている方であれば耳鼻科での治療が必要となります。



根管治療

精密根管治療とは、一般的に「マイクロスコープを使用した精密な根管治療」の事です。虫歯などで細菌が歯髄(歯の神経)まで感染した場 合や、歯の根の先に膿が溜まるなど『根尖病変』になった場合に行われる処置で、マイクロスコープを用いた根管治療であることから「マイ クロエンド」とも呼ばれます。
歯の内部(根管)に存在する感染した組織を取り除き、根管内を徹底的に清掃・消毒し、再び封鎖することで歯を保存する治療法です。

この治療法は、保険治療の根管治療と比較して、以下の点で優れています。

根管治療専門医による診断と治療
根管治療の専門医が、根管の構造を詳細に把握し、高倍率の拡大鏡やマイクロスコープを使用して、歯の内部を詳細に観察し、精度の高い処 置を可能にします。
根管治療治療専用の器具や専門医ならではの技術を用いることで、治療の効率と成功率を向上させます。

精密根管治療について詳しくはこちらをご覧ください。



歯周病治療

歯周病は、歯を支える組織に影響を及ぼす炎症性疾患であり、適切な治療が行われない場合、歯の喪失に繋がることがあります。早期発見と 適切な治療が重要です。

【スケーリング】
歯の表面や歯と歯茎の境目に付着した歯垢や歯石を取り除く手法です。これにより、細菌の繁殖を抑制し、歯茎の炎症を減少させます。

【薬物療法】
歯周病によって強い炎症や海が出たりしている場合、局所的にペースト状の抗生物質を歯茎の中に注入したり、抗生物質の飲み薬を服用して もらうことがあります。

【手術】
進行した歯周病には、手術が必要な場合があります。
歯肉を切開して深部の歯垢や歯石を取り除き、再び縫合します。

【自宅でのケア】
頑張って通院して歯周病治療を行っても、日常的な口腔ケアができていなければ全く意味がありません。おうちでのセルフケアは歯周病の治 療においてとても重要です。
自分のお口の中の状況に合った歯ブラシを使用し、歯茎の際まで丁寧にブラッシングします。手動の歯ブラシでうまく磨けない方は電動歯ブ ラシの使用も効果的です。

【定期的な歯科受診】
痛みや症状が出たときには大きな治療になることが非常に多いため、定期検診は虫歯と歯周病の予防と早期発見にとても重要です。
治療が終わっても定期検診で通院することを強くお勧めします。