根管治療の機材・材料・薬剤
Q.根管治療で使われる充填材とは?
根管治療で使われる充填材(最終のお薬)について2つのポイントで解説致します。
■ポイント1
神経がなくなった根管の内部に詰める薬剤
■ポイント2
ベストな根管充填剤は何か?
以上の2つのポイントで解説します。
では、まず最初に
ポイント1 神経がなくなった根管の内部に詰める薬剤
【3つの理由で、充填剤は必要とされています】
①歯の根っこの中を封鎖して細菌が入ってこないようにするため
根管充填をする一つ目の目的は「歯の根っこの中に細菌が入らないようにするため」です。
細菌が歯の根っこの中に入ると、歯の成分を栄養にして細菌がどんどん増えていきます。細菌が増えると根っこ先で炎症が起こります。こうなると、再度根管治療が必要になります。
ですので、根管充填を行い、新たに細菌が歯の根っこの中に入らないようにする必要があります。
②歯の根っこの中に残った細菌が増えないようにスペースを埋めるため
根管治療で針のような器具(ファイル)と洗浄液を使って歯の根っこの中をキレイにします。
しかしながら、治療をしても根管の中の細菌数を0(根管内の無菌化)にすることはできません。
どんなに歯の根っこの中をキレイにしても、細菌は必ず残ってしまい、そして、根っこの中に残った細菌は、栄養とスペースがあるとどんどん増えていってしまいます。
ですので、根っこの中に残った細菌がこれ以上増えないために根管内の隙間を埋める必要があります。
その隙間を埋めるために、根管充填をします。
根管充填材で根っこの中を封鎖することで細菌が増えるスペースを無くすことができます。
③治療した根っこを破折から守るため
根管充填をし、根管充填材と歯の根っこが密着することで封鎖できるだけではなく、歯の根っこが破折しにくくする効果があります。
根管治療をした歯は根っこの内側を削っているので、根っこの厚みが薄くなります。薄くなると歯が破折しやすくなり、この薄くなった根っこを根管充填することで内側から補強し破折から守ることができます。
ポイント2 保険治療か自費治療かで使える材料は変わる
根管充填材は種類があり、保険治療と自費治療で使える材料が違います。それぞれの特徴を表にまとめました。
従来の保険適応のガッタパーチャは、治療後に体内に吸収されず、安定して根っこの中に存在します。また、操作性がいいことも特徴の一つです。
しかし、
・封鎖性
・機械的強度など
根管充填剤として必要な様々な性質が低いので再感染を起こす可能性があります。シーラーは体に害はありませんが、歯の根っこの先に触れると刺激があったり、時間が経つと吸収されなくなります。長期的にみると、再治療となる可能性が高い根管充填剤となります。
これが、バイオセラミックシーラー+専用のガッタパーチャポイント
バイオセラミックシーラーとはMTAの性質に近いシーラーです。
ですので、従来の保険治療適応のシーラーと比べ、封鎖性や強度など根管充填材に適した性質を持っています。
また、根っこの内側と接着し、操作性もいいので根管充填に適した材料といえます。
専用のガッタパーチャとは、根っこをキレイにするために使った針のような器具(ファイル)の形にピッタリと合ったガッタパーチャのことです。
保険適応の物と比べ、メーカーごとにファイルの形とガッタパーチャの形が一致するよう精密に作られています。
この2つを使用することでキレイになった根っこの形に合った緊密な根管充填をすることができます。
■MTA
MTAは、最も根管充填に適した材料です。
上に表からもわかるように、操作性以外の根管充填剤としても性質を全て持っています。
再治療、破折による抜歯のリスクを軽減できる最適の材料です。
操作性が低く、キレイに根管充填をするには高い技術が必要ですが、キレイに詰めることができれば長期的に根っこの中を健康に保つことができます。
実は、最近になり保険適応でもバイオセラミックシーラーとバイオセラミックガッタパーチャが販売開始されています!
当院では、保険診療でもバイオセラミックシーラーとバイオセラミックガッタパーチャを使用しています。